大阪都構想について

平成27年5月16日(土)

いよいよ明日、大阪で都構想の是非が問われる。

 先週5月9日(土)に大阪へ行った際、橋下徹大阪市長の演説を聴いた。
 橋下の演説はかねてより述べていたことを繰り返しているに過ぎず、主たる目的は統治機構の改革であり、大阪においてはそれが二重行政の解消であるとしている。
 彼は、非常に理路整然としていると私は思う。だが、人を説得する能力はイマイチの気がした。彼の言っていることは正にその通りだと思う。しかし、それを彼が言うのは許せない。そう考えている人が多くいるからこそ、今回の選挙は現段階では否定派が多いのだろう。
 橋下徹の話し合いで解決できないことには選挙を通じて議決するという姿勢を貫いている。市長選に然り、今回の選挙に然り。選挙は民主主義の本質であり、民主主義の限界である。
 民主主義の限界には力を持って対抗するという姿勢は、問題なのだろうか。私はそう考えない。反対派が煽っているようにハシモト独裁になってしまう危険性を 孕む。しかしながら、誰かが決断する、誰かが責任を負って物事を推し進める以外に、世を良くしていくことは不可能に近いだろう。
所謂「民主主義」的である話し合いによる解決は、議論が平行線を辿る限り解決策を見いだすことはできない。学問であればそれで良いだろう。だが、行政は常 に「今」そして「将来」が問われている。文学は停滞が許されるだろう。源氏物語の研究が進まないからといって私たちの生活は悪くならない。しかし、行政の 停滞は生活に深刻な影響を及ぼす。
 例えば、成績の悪い社員の給料を減額すべきか据え置くかを決めるにあたり、会議を行ったとする。そこで結論が出せなかったとしても、給料の支払いを保留することはできない。据え置くか減額するかを、一時的であるかもしれないにせよ決断しなくてはならない。
 もちろん、独裁がよいわけではない。どんなリーダーであっても行動に問題がないのか、我々市民が目を光らせ民主主義を逸脱するような行動に対しては相応の対応を取らなければならない。
橋下徹を忌み嫌う者どもが良く書き立てるような「ハシモトの暴走」というものが起こるのだと常に仮定しておく必要はある。その意味では橋下徹の政治はハシ モト一人では為しえない。橋下徹に対する反対派が存在することによって、橋下徹の政治は絶えず更新され精錬されていく。

 ところで、なぜ橋下徹は選挙に負けたら政治家を辞めると述べている。どうしてそこまでする必要があるのだろうか。どうして人生の一部を過ごしたに過ぎない大阪の将来を慮り、自分の人生を賭しているのか。
 私は大阪都構想の是非に於いて、このことを考えるのは非常に重要であると考える。ハシモト氏は胡散臭いのかもしれない。それは、頭の回転が人より速く、人 より正直なためだ。弁護士という詭辯さを必要とする職業をしていたわりには本心を云ってしまう、あるいは敢えて云うようにしているハシモト氏は、若かりし 頃に胡散臭いテレビ番組で名を全国に知らしめた。この頃の生意気な印象は今でも定着しているだろう。そして本心を隠さないところ、人が嫌がることを平気で 言うところ、認めたくないが認めなければいけない物事に対して平気で発言をするところ、そのくせ最後の最後に政治力によって言葉の一部がねじ曲げられてし まい結果として信用できない印象が着いてしまうところ等が露見しているため、信用したいが信用しきれないと考える人が多いのだと思う。また、このような人 間を嫌う日本人は非常に多いので(言わないで欲しいことを平気で言う人が近くに居たら嫌だろう)、そのように考える人々からはなかなか信認は得られないは ずだ。

 しかし私は、それでも橋下徹が人生を賭して行おうとしている都構想には大義があると思う。いくら彼が信用できないからと言って、彼の 行おうとしていることまでも否定できるわけではないだろう。確かに彼は信頼における人物ではない。しかし、だからこそ彼は人生を賭して「大阪市民の生活に 影響はない」という都構想の実現を目指している。将来の大阪の、将来の日本のために、自分の「今、そして将来」を賭して行動している。
そんな彼を、私は信じたい。

やらなければメリット、デメリットすら分からないまま。これこそ最大の不幸です。まずはやってみるリスクをとる。そして、やってみるメリット、デメリットを検証する。これが僕の政治方針です。

橋下徹・堺屋太一『体制維新―大阪都』文藝春秋、平成23年

何も行動を起こさずじり貧になるよりは、もしかすると失敗する可能性があったとしても、それでも一度やってみようとするのが橋下徹の考え方である。私は―彼の全てでは内にしろ―橋下徹の都構想を支持している。

僕らはみんなから転載

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